今月の日記

目次


2020-01-03

書くことに取り憑かれた人に。書籍「書ける人になる!」

* * *

書けるひとになる!」Natalie Goldberg

私はこの本からたくさんのことを学びました。だから、何から説明すればいいのか分かりません。圧倒されて言葉にできないのです。「つたない説明をするくらいなら、かえって何も言わないほうがよいのでは」とさえ思ってしまいます。

それでも、こうやってキーボードを叩くのは、苦しいからです。何か言うべき大事なことがあるはずなのにそれが分からなくて、喉のあたりが苦しい。だから書く。この苦しさから逃れるため。つまるところ、私は生きるために書いている。

私のように、書くことに取り憑かれている人に、この本をおすすめします。原著「Writing Down the Bones」は1986年にアメリカで出版されました。タイトルを訳すと「骨を書き留める」。この本が教えるのは単なる文章術ではありません。自分の言葉を書き留める心構えです。

著者のNatalie Goldberg(ナタリー・ゴールドバーグ)は、どの章でも私の目を開いてくれます。

* * *

聴くこと

私は以前こう考えていました。「文章を書く能力」というものがあって、優れた文章を書くにはそれが物を言うのだ、と。その考えを覆したのは、「聴くこと」という章です。

彼によると、音痴などというものは存在せず、「歌とは、その九十パーセントが聴くことだから、聴く練習をしなければいけない」のだそうだ。聴くことがマスターできれば、身体が音楽で満たされ、口を開けばそれが自然に流れ出すという。

書くことも、九十パーセントは聴くことだ。自分をいっぱいに満たすまでまわりの空間に聴き入るなら、ペンを握ったとき言葉がほとばしり出てくるはずだ。

あらゆることに対してすなおであれ。オープンになれ。耳を傾けよ

-「書ける人になる!」より


「聴く」という受容能力がカギになります。周りの世界を取り込んで書き出す。吸って吐く。書くことは呼吸です。

「書く能力」に焦点を合わせていたころは、イライラしていました。うまく書けないのは自分のせいだから。才能のなさを嘆き、「もっと努力しなければ」と自分を追い詰めていました。

でも、「聴くこと」に焦点を合わせると、劣等感に振り回されなくなります。伝えることに意識が集中するからです。見知ったすばらしい考えを誰か伝えなければ、と。

しかも、そのほうが面白い文章が書けるのです。あなたの周りに、何かを夢中になって話す人がいませんか。私はそういう人が好きです。自分が「面白い!」と思ったことを一生懸命話す。その面白さが100%伝わるように。知識をひけらかすためではありません。彼らは、対象に集中して自分を忘れています。

自分を忘れる。そう、周りの世界に目を向けると、自分のことを忘れてしまいます。才能も、境遇も、外聞も。自分が透明になったような感じ。聞いた話、読んだ本、見た映画、それらが私を通り抜けて文章として出てきます。

私がすべきことは、耳をすませること。人々の話に、世の中で起きていることに、自分の感情に。それらをありのまま正確に書く。

どこまでも行ける気がしました。自分の能力に頼ってものを書くなら、いつかは涸れてしまうでしょう。でも、周りの世界を吸収してものを書くなら、どこまででも行けます。無限です。

この本を読んで、書くことについてそんなふうに考えるようになりました。

Natalie Goldberg著「書けるひとになる!」はおすすめです。


過去の日記